弊社が企画・販売を行っています防災ソリューション「グラスフォン」ですが、過日、弊社のグラスフォン担当者と株式会社バックムーンさんとの座談会が実現しました(バックムーンさんには当初よりグラスフォンのユーザーインターフェイス設計や開発部分をご協力頂いています)。

題して「グラスフォン開発者座談会」ということで、その様子を2回に分けてご紹介したいと思います。今回は前編をお届けします。

【対談者紹介】
知念氏:株式会社バックムーン CEO
山口氏:株式会社バックムーン CDO(Chief Design Officer)
前津氏:株式会社バックムーン CTO
崎山:株式会社ブルー・オーシャン沖縄 グラスフォン発案者・企画営業
日田:株式会社ブルー・オーシャン沖縄 グラスフォンエンジニア
安田:株式会社ブルー・オーシャン沖縄 広報

「この製品で世の中がどう変わるだろう?」から始まった

■安田
そもそもグラスフォンを開発しようと思ったキッカケを教えてください。

■崎山
もともとは一対nで通信できる他社のコミュニケーション製品があり、その活用用途を検討することがあったんですね。そのときに防災に使えるんじゃないだろうかとひらめきました。そうしてモックアップを作って自治体の方に見てもらったところ、反応がとても良かったんです。それがグラスフォンという製品を本格的に開発するきっかけになりました。

そのときに思ったのが、重要なことは「開発した製品で世の中がどう変わるだろうか」ということ。グラスフォンという製品は、いま日本全体が抱えている大きな課題を新しい仕組みで軽減する製品として、ありがたいことに全国の自治体で認知が広まっています。そして、このようなグラスフォンの開発コンセプトにバックムーンさんがすごく賛同してくれたのが嬉しかったです。

■安田
いわゆる防災ソリューションは世の中にたくさんあって、いろんなメーカーがデファクトスタンダードを奪いあっていると思います。そんな中、グラスフォンはどこに価値を置いているんでしょうか?

■崎山
グラスフォンが注力しているのは、災害発生後、自治体が地域の被災状況を県や関係機関に報告するフェーズです。一般的にこの部分はシステム化することが難しいため、多くのマンパワーを災害状況の把握のために費やすことになります。

しかしその結果どうなるかというと、「災害直後の1時間」という非常に重要なときに、スタッフが効果的に動けない状況が発生してしまうんです。

グラスフォンはその重要な点をサポートするためのシステムです。つまり、災害発生直後から、電話を使った一斉安否確認システムを作動させる。すると、短い時間にたくさんの住民の安否情報をシステムが自動的に収集・整理するんです。そうして、災害直後の貴重な時間とマンパワーをもっと効果的に使うことができるようになります。

■安田
なるほど。でも、災害で電話が使えなくなる状況も考えられますよね?

■崎山
はい、もちろんです。その状況では恐らく社会インフラのほぼすべてが止まっていると考えられますが、だからといって何も対策をとらない、ということではないと思うんですね。あらかじめグラスフォンを準備しておくことで一人でも多くの命を救える可能性が高まるのであれば、という自治体さんに導入頂いています。

日々、全国の自治体さん向けにデモさせて頂いているのですが、その場合は必ず、対象地域の防災計画を熟知したうえでデモに臨んでいます。むしろ自治体の方々よりも私のほうが詳しいくらいの勢いで・・・そして、お互いの「ひとりでも多くの住民を助けたい」という気持ちが繋がる瞬間が本当に嬉しいです。

■安田
防災の資格も取ったと聞きました。

■崎山
はい、防災士の資格も取りました。たんなるシステム屋さんではなく、地域のための防災コンサルをするなら、この資格は必須なんじゃないかと。

温度感と思いの一致こそがパートナーのあるべき姿

■安田
グラスフォンの開発にはバックムーンさんにも関わって頂きましたが、一緒にお仕事してみてどうでしたか?

■崎山
販売製品がビジネス的に成功することはやはり必要ですが、パートナーとして一緒に製品開発に取り組んで頂くには、同じ温度感で賛同してくれているかがとても大事なんです。

■山口
私たちバックムーンがプロジェクトをお請けするかどうかの基準は「企画している方が真剣かどうか」「本当にやりたいんだ、という思いが伝わってくるかどうか」なんです。

■前津
モックアップを見せてもらった瞬間にもう、いまの完成形が見えました(笑)

■崎山
IT業界は通常ニーズが見えているものしか作らなかったり、売れそうだから作って売る、というスタンスですが、グラスフォンの場合はそうではなくて、初めにモックアップの最小機能からスタートし、自治体さんが乗ってくれたからこそ、本格的に実装機能を考えはじめました。

■山口
そうですね、新しいサービスを開発する場合は、最小限のものから徐々に膨らませていくのがいいと思います。

■知念
私たちの会社はふだん新規事業のプロトタイプを作ることが多いのですが、開発だけでなくビジネスモデルまで口を挟みがちなんですね。ですが、グラスフォンはそうはならなかったです(笑)。 というのも、グラスフォンはそこまで考えなくても大丈夫な感じだったので。

■崎山
日田さんは、初めてグラスフォンを見たときにどう感じましたか?

■日田
固定電話に目を付けたのはいいなと思いました。というのも、うちの母親はITにとても弱くて、メールを送ると電話がかかってくるんですよ(笑) そんな経験もあり、とても良いソリューションだと思いました。

後編に続きます